@min_kotoni で、たまに小咄をつぶやいています。
ジオコン3
ジョシュアは頭痛に悩まされていた。何に誘発されて痛むのか掴めない。階層が深くなるにつれ、頻度が増しているように思われた。セイニーは「目の色変えまくってるからじゃないのー?」という。確かに変わるけど、誤解されそうで嫌な言い方だなあと彼は思った。
ADF
【百合注意】
どこかの侍女と思しき女が、こそこそと部屋から出て、長い廊下を小走りで去っていくのが見えた。女の出てきた扉はエンリの部屋ではなかったか。あの女魔術師は出征前日まで愛人を呼んでいるのか。嫌なものを見た、とローゼは眉間に皺を寄せる。
同じ扉からエンリが現れた。火照った胸元をはだけ、一戦交えた後だというのを隠そうともしていない。
「呆れるほどいつも通りね」ローゼは返答など期待せず吐き捨てた。
エンリはローゼの声に気づき、視線を向ける。「変に緊張して判断を誤るなら、平常通りが良いものさ」ローゼの言葉に気分を害することなく、ただ微笑を浮かべたままかえす。
「手本にしたくはないけど素晴らしい心がけだわ」
「試してみるか?」
一瞬のちに鼻が触れそうな位置にエンリの顔が現れたが、ローゼは一歩も動かず眉一つ動かさない。
しかしほんの一瞬ローゼの指先に力が入ったのを、エンリは見逃していなかった。エンリはそれで満足したようで、ローゼから顔を離した。
エンリは踵を返して歩きだす。
「どこへ行くの」
「散策して涼んでから眠りたい」
エンリが去ると、ローゼは自身の状況を思い出した。出征前夜なのは当然ローゼも同様なのだった。
変なものに声をかけてしまった。早く自室に戻り明日に備えよう。
オプモン
おもちゃの街へ行って、お月さまとお話しした。目が覚めてそれらが夢だとわかって、がっかりしたようなほっとような気持ち。起きたらポケットに大きなピンクのキャンディがあった。誰かがキャンディのこと教えてくれたけど、なんだっけ?またあの夢を見られるかな。
ハートランド
ひとつひとつ、カチュアは手紙をそっと海に流していく。「手紙、流してしまうの?」「ええ。もう役目を終えたから」想いは水に溶けるだろうか。溶けた想いは巡るだろうか。
ジオコン2,4
クロウは、今週は仕事がないのでポリーの家に戻ってきている。こまめに顔を見せないと、可愛い妹が大げさなまでに心配するからだ。妹の淹れてくれたおいしいお茶を味わっていると、「お兄ちゃん、小さなお客さまよ」くすくす笑いながら来客を知らされた。
玄関に行くと、嫌な予感しか感じられない少年がいる。その場で追い返したかったが、妹が見ている手前そうするわけにもいかず、なかへ招き入れた。
テーブルへつくと妹は少年のために茶を淹れ、クロウの茶を淹れなおした。それからどこからか大量の菓子を取り出しテーブルに置いた。妹は少年をたいそう気に入ったらしく、頭をなでて可愛がった。少年はばつの悪い表情をしている。
「可愛い子ね。お兄ちゃんの小さい頃にそっくり」
決定的なキーワードをさらりと言ってのけた妹は、少年の頭をなで続ける。
少年は更に顔色を悪くした。
これにはクロウも奥歯のあたりに力が入った。
妹は名残惜しそうに掛け時計を見て「そろそろ買い物に行かなくちゃいけないわね」と呟き、再度少年に菓子を勧めてから外出していった。
妹が去り、少年はようやくまともに口を開いた。
「俺の姿をみたときから予想はついたと思うが、面倒な話だ」「聞きたくない」「聞け」少年の態度は異常に尊大だった。
少年は、少年が転生を繰り返したクロウであること、未来から来たこと、過去の情報を得る術に失敗し過去へ飛ばされたことを話した。
「俺の目的はこの時代の資料を得ることと、もとの時代に帰ることだ。協力しろ」「断る。俺にメリットがない」
この返答は未来の少年クロウの想定内だったので、こう切り返した。「俺は未来のお前だ。お前のことはなんでも知っている。何が言いたいかわかるな」「……」
数秒の間の後、現在のクロウは言った。「お前が本当に未来の俺なら、あいつに危険が及ぶようなことはするな」あいつ、というのは当然ながら妹のことである。「無論だ」と、少年クロウは頷いた。シスコンは時を超えて不変であった。
『頭痛』『赤』『無作為』 軽めに。目の色チェンジ。
お題なし【百合注意】 先日のカリュ×ゲルダと同じ展開でエンリとローゼ。この人たちどんな口調で話すのか不明すぎる。
みんさんの本日のお題は「宝物」、やさしい作品を創作しましょう。補助要素は「旅」です。 捻り無し直球。
メッセージを浮かべて ベタな。
お題なし 妹に頭なでられる少年クロウが書けたので目的は達成したっ…!
2012.05.02 みん コトニエイ