女神の子 2




妖魔王に最後の一撃を放った瞬間、辺りは閃光に包まれた。

それは破滅と再生の光。





目を焼かんばかりの光に目を伏せながら

ぼんやりと思い出されるのは故郷。













全てが終わると思っていたあの日。

大地が最も揺れた日だ。





王都のパーティーをそっと抜け出して、

生活感がありながら人気の無い

そんな不思議な村をふたりで歩いた。

見知らぬ地へ踏み入ったような不思議な高揚感。

そうして平穏な生活へと還ってゆくのだと信じていた。





















 ラウラの、紅く染められた手が置かれていた。

 赤色の腕は、地面に落とされたまま動かない。

 その『モノ』に、夢を見た。














    遠い遠い、昔の。

    何もかも焼き尽くされた村の外で、立ち尽くしていたひとりの少女。

    感傷的であった母は、その場で少女を引き取ることに決めてしまった。

    「あなたは、この村の子供だったのね?」

    確認を取るように話しかけたその言葉が、少女を現実に引き戻した。





    焼き払われた村は、遠くまで見渡すことが出来た。

    遥か遠くに、行進する軍隊が見えた。





    現実に戻された少女は、豆粒ほどの行進へ向かって駆け出した。

    母が追いかけて連れ戻そうとしても、無駄だった。

    疲れを知らない少女は、何処までも追いかけた。





    ようやく追いついて押し留めても、

    少女は腕の中で尚、走り続けた。

    言葉にならない叫びをあげながら。









――最後まで戦っていたのはラウラだったんだ。







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(04.01.10)


戦災孤児、って実際どんな感じなのでしょうか。